11月26日(火)に東京エレクトロン デバイス株式会社 渋谷本社で開催された、AIxIoTビジネス共創ラボ 第1回勉強会に参加しました。
祝・AIxIoTビジネス共創ラボ発足 第1回勉強会 – connpass
AIxIoTビジネス共創ラボとは?
日本マイクロソフト株式会社が事務局、東京エレクトロンデバイス株式会社が幹事会社となり、AIとIoT技術を活用した新たなビジネスソリューションを創出するコミュニティです。
今回のような勉強会や、イベント開催を中心に活動しています。
前身である2016年に発足した「IoTビジネス共創ラボ」がこの度リニューアルし、「AI x IoTビジネス共創ラボ」となりました。
第1回勉強会
今回はリニューアル後、第1回目の勉強会ということで、現地だけでも50名以上、オンラインでは100名以上の参加がありました。
また、そのうち半数が初参加ということもあり、フレッシュなイベントになったのではないかと思います。
セッション
SLMをエッジAIとして検証してみて分かったこと
東京エレクトロンデバイス株式会社 辻野様
SLM(小規模言語モデル)という、軽量のAIモデルをエッジAIとして利用したデモと、そこから得られたSLMの活用方法のアイデアを紹介いただきました。
デモでは、産業機器にエッジAIとしてSLMを組み込むというシナリオで、
- 保全レポート生成ツール
- 社内データをもとにAIが回答する問い合わせシステム
の動作を確認することができました。
どちらもエッジAIとして組み込むことで、ローカル環境でも低遅延で生成AIを実行することができます。
SLMはLLM(大規模言語モデル)と比べると、性能が劣るため、アプリケーション側でカバーする等の工夫が必要だとのことでした。
課題としてハードウェアの性能・価格を挙げていましたが、今後提供される製品で解決ができそうとのことでした。
生成AIを活用したIT運用高度化への挑戦
ユニアデックス株式会社 内ヶ島様
ユーザーサポート業務に生成AIを活用し、生産性を向上させた事例の紹介でした。
ユーザーサポートでは、コールセンターが問い合わせの回答を文章化するという業務があり、この業務に生成AIを取り入れたシステムを適用させるという事例でした。
システムの仕組みは、社内ナレッジやインターネット検索からの情報を抽出し、Azure OpenAI サービスを利用して文章を生成するというものです。
結果として、回答作成時間が4時間から4分になり、さらに生成結果の約半数は実際の回答のベースとして利用できるものだったそうです。
また、システム化する際の検討事項として、内製化するポイントの見極めやモデル選定などを挙げていました。
内製化するポイントは、ナレッジとなるデータ部分、アプリケーション部分、AI部分などがありました。
実際の業務生産性を向上させた例として、大変勉強になるセッションでした。
全社員に向けて、生成AI活用を促進!~電通総研の生成AI活用ロードマップ~
株式会社電通総研 深谷様
社内で生成AIの活用を推進するためのノウハウを、実例を交え紹介いただきました。
社内での生成AIの活用が進んでいない理由としてアンケートを取ったところ、
- 利用イメージが湧かない
- 生成AIを使って成果を出すイメージが湧かない
- 機密情報が流出しそう
- 自分の業務と関係なさそう
といった意見があったとのことでした。
そこで、生成AIの活用を推進するための5段階のステップ
- わかる
- できる
- 使う
- 使い続ける
- 自社サービスに応用する
を組み立て、活用を推進したとのことでした。
具体的には全社員に生成AIを利用できるソリューションの提供や、社内の専門家によるレクチャー、社内イベントの開催などを挙げていました。
その結果、日々生成AIを利用する社員が1000人を突破したそうです。
また、実際にはAIを熱狂的に使い続けるユーザーを見つけ、その人から社内に発信してもらうこと、その人をサポートできるような環境を作ることが重要であるとのことでした。
Ignite 2024で注目のアップデートを特急チェック!
日本マイクロソフト株式会社 大川様 / 福原様
先日開催されたMicrosoftのテクニカル カンファレンス「Microsoft Ignite」で発表された情報から、AI・IoTに関連したものをピックアップして紹介いただきました。
様々なアップデート情報がありましたが、個人的に注目したトピックを3つ紹介します。
Copilot + AI Stack
Copilot Studioでは、1400以上のコネクタと接続ができるようになり、さらに12月からAzureの従量課金制で利用できるようになるなどの大きなアップデートがありました。
GitHub Copilot for Visual Studio Codeでは、コードのアドバイスや複数のファイルの同時閲覧などの進化をしていました。
GitHub Copilotを表現した、「ペアプログラマーを1日1杯のコーヒーで雇える」という言葉が印象的でした。
Azure AI
Azure AI Studioにさらに機能が加わり、「Azure AI Foundry」としてリブランディングされました。
最近のAI活用の課題として、モデルの多様化による選択の難しさや、プロジェクトの複雑化などがあります。
Azure AI Foundryでは、豊富なモデルカタログやFine-Tuningといった調整の機能など、AIサービスを一元管理することができ、このような課題の解決が見込めます。
また、Azure AI Agent Serviceという、エージェントを構築できる機能のアナウンスもありました。
Adaptive cloud approach
エッジからクラウドまで、全てAzureで管理できるようにするサービスの紹介でした。
Azure Localという、低コストなエッジサーバーの一般提供開始のアナウンスもありました。
既存のAzure Arcは既存のインフラストラクチャにAzureの管理機能を拡張させるサービスであるのに対して、Azure Localは新しいインフラストラクチャのデプロイ・管理ができるサービスになっています。
従来のVMwareをAzure Localに移行することで、Azureポータルからの一元管理ができるようになります。
またAzure Localでは、Azure AI Searchを用いたRAGやAzure Machine Larningによる機械学習をローカルで行うことができるため、エッジAIのデバイスとしても利用可能とのことでした。
データ利活用によるビジネス共創
アヴィバ株式会社 石井様
CONNECTというインダストリアルプラットフォームを用いたデータの利活用について、事例を交えて紹介いただきました。
多くの企業では、データを蓄積するのみで、活用できていないことが多いのが現状です。
CONNECTを使うことで、データをクラウドに集約することができるようになるとのことでした。
さらにCONNECTでは、データを第三者にセキュアに渡すことができるため、データサイエンティストを始めとするデータを利活用できる専門家に任せやすい環境になっています。
加えてREST APIを使ったMicrosoft Fabricとの連携が可能で、データ統合や可視化などを実現できるそうです。多様なデータを集約・一元的に管理できる利便性が印象的でした。
事例として、実際の企業の運用データを第三者の解析チームに渡して分析を行うシナリオを紹介していただきました。
実際に生産の効率化・廃棄率の削減を行うことができ、結果として増益に繋がったとのことでした。
自社データは所有しているだけではなく、専門家に渡して利活用することが重要であると強調していました。
SONY 「AIRIOS」によるAIエッジセンシングの新たな可能性
VISITS Technologies株式会社 星野様
SONYの「AIRIOS」の紹介と、活用方法のご提案がメインのセッションでした。
AIRIOSはカメラセンサーなどのエッジAIデバイスを活用したサービスプラットフォームです。
AITRIOS | Sony Semiconductor Solutions Group
あらかじめ画像をラベリングしたAIモデルを作成することで、画像の推論を行うことができます。
画像や動画ではなく、テキストベースで通信を行うことで、軽量かつプライバシーに配慮したデータ通信を行うことができます。
デモとして、直前に撮影された亀の写真の撮影・解析をするアプリや、会場をリアルタイムで映した人数カウントなどを行っていました。
人数カウントのデモでは、数字がスクリーンに即時反映され、データ通信の速さを体感することができました。
AITRIOSはブラウザから操作でき、様々なものとインテグレーションできるとのことで、デモのアプリにはPower Appsを採用していました。
また、運用シナリオとして、
- 通信速度が速いことを活かした、市街地に出没した熊のトラッキング・リアルタイム通知
- 画像を撮影せずに解析できることを活かした、プライバシーの配慮が必要なエリアでの監視カメラ
- リアルタイムでの混雑検知
といった、公共の安全につながる例を紹介していました。
GPUと画像生成AIが拓くマーケティングとビジネスの未来、次世代の可能性
LinkX Japan株式会社 坂本様
生成AIを使ったマーケティングサービス「AI Marketer」の紹介でした。
AI Marketerは、マーケティングに必要な3つの機能
- CMS機能
- AI文章生成機能
- SNS管理機能
を一気通貫できるサービスです。
メディアのボトルネックとなる、メディアの選定・人的・金銭的リソースの制限・ノウハウ不足などを解決し、メディアに広くリーチできるとのことでした。
AI MarketerはバックグラウンドにAzure Arc、Azure Kubernetes Service,、Azure App ServiceなどのAzure製品と生成AIを利用しており、多様なマーケティングにパーソナライズされたコンテンツを生成することができます 。
まとめとして、今後のマーケティングでは画像・動画の価値が向上していくことと、新たなマーケティング手法が期待されることを述べていました。
生成AIの、新たなマーケティング手法の可能性を感じたセッションでした。
最後に
今までの「IoTビジネス共創ラボ」のようなIoTの視点に加えて、新たにAIの視点からのセッションも加わったことで、より様々な知見をいることができました。
まさに「AI x IoT」というイベントになっており、今後の勉強会にも期待が持てるイベントでした。
上越妙高AIxIoTビジネス共創ラボ
当社はAIxIoTビジネス共創ラボの地域版である「上越妙高AIxIoTビジネス共創ラボ」の幹事企業としても活動しています。
地域版のイベントは当社ホームページのニュースやFacebookで案内をしておりますので、ぜひご確認ください!
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